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アガサ・クリスティ「パディント発4時50分」読了~事件そっちのけの永遠の謎~

今日は、英国グラナダ制作「ミス・マープル」の「パディントン発4:50」をまた見てました(日記的展開)

アガサ・クリスティーのミス・マープル DVD-BOX 1



これの3巻にパディントンは収録。
ミス・マープルの映像化を見たのはこのシリーズが初めてで唯一だったので、これより前や後にも映像化されていたというのは最近知りました(よって未見)
原作も、マープルシリーズは全くの未読でした。

このドラマの好きなエピソードは、
パディントン発4:50
スリーピング・マーダー
バートラム・ホテルにて
事件の展開云々というより、主人公達のロマンスがやたらほほえましいのです。
どれもちょっと強気で有能な女性キャラと、フォローする立場的な男性キャラが、事件を調査してる内に段々惹かれ合ってくパターンでした。
しまった好きなパターンが解りやすい!

特に「パディントン発4:50」が好きで、というよりこの回に出て来る警部が好きで、ドラマではヒロインと警部がくっついたので「原作での二人の進展が見たい!」と思い、原作に手を出したのが全ての発端でした。

・ドラマでの「パディントン発4:50」ストーリー
ミス・マープルの友達が、列車で殺人を目撃しました。でも死体は出て来こなかったのでおばあさんの妄想にされて事件として扱われませんでした。
マープルは友達を信じたので、調査に乗り出しました。線路沿いに死体が隠せそうなお屋敷があったので、友人の超有能家政コンサルタントであるルーシー(若くて美人)に頼んで、お屋敷に家政婦として入って貰いました。お屋敷に住んでる&集まってる家族は、

ルーサー(当主)、
エマ(長女)、
アルフレッド(次男)、
ハロルド(三男)、
ブライアン(亡き次女の夫)&子ども、
セドリック(四男)。

マープルは、自分は、子供の頃から知ってるその地域の警部のお家に居候。マープル&ルーシー&警部で事件を調べます。
ルーシーはお屋敷に隠されてた死体を見付けたり、ブライアンに恋を告白されたりしますが、事件解決後、ラストでブライアンより警部を選びます。


――という展開なのですが、原作読んで……アレ?
警部とルーシー、全然イチャイチャしてない…?

そもそも、なんでこんなに警部&ルーシー推しなのかというと、ドラマの警部がほんとに魅力的なキャラクターだったのです。
初めは唯の穏やかでお人好しそうなキャラで出て来ておいて、お屋敷で死体が見つかってから実は警部だったと判明し、仕事中の厳しい姿勢と、マープルの前での柔らかくて茶目っ気のある印象のギャップがとても魅力的なキャラクターだったのでした(役者さんは、ブライアンの方が正統派男前であるが、それを差し引いても魅力的である)

【追記】演じた役者さんはジョン・ハナー。一番解りやすいところでいうと、「ハムナプトラ」のヒロインエイブリンの軟派なお兄ちゃんです(ハムナプトラのお兄ちゃんも大好きである。余談ではあるが吹き替えは日本テレビ版の中尾隆聖バージョンが好き。ついでに日本テレビ版はアーデスも大塚明夫なので、こっちがソフト化して欲しい…)
←一番右下

よって非常に警部押しだったので、ルーシーが警部を選んだ時には、頭の中がわっしょいわっしょい御祝い祭が繰り広げられていたのですが――アレ?

実は、ドラマは原作から多少変更があります。
ドラマでは警部の名前はトム・キャンベルですが、原作ではダーモット・クラドックという名前です。
お屋敷の家族構成も、原作ではセドリック(次男)、ハロルド(三男)、アルフレッド(四男)となっています(原作、ドラマ共に長男は死亡)

そして原作では、ルーシーはルーサー(原作では銭ゲバ偏屈爺)、セドリック(悪ぶる自由人)、ブライアン(誠実だけど夢見がちで現実味が無い)に求婚され、ルーシー自身はセドリックとブライアンに惹かれてる描写が途中で出るけど、結局誰を選んだのかはっきりしない描写で終了します。
そして、どうやらこれは結構ファンの間で「答えのない問題」として長く論争になってるみたいなのでした。
ざっと調べて、以下の派閥で争われている模様。

1.ブライアンと結婚したよ派(守ってあげたい)
2.セドリックと結婚したよ派(悪男の魅力)
3.クラドックと結婚したよ派(ラストの文章)
4.ルーサーと結婚したよ派(マネーマネー!)
5.誰とも結婚しなかったよ派(マープルの勘違い)

今回私が見たドラマは警部落ちでしたが、他の映像化されているものでは、ググっただけですがブライアン落ちだったりセドリック落ちだったりしている様で、ファンを思ってか一定はしていない様子。
私は原作を読んで、ルーシーが選んだのは「帯に短し襷に長し」なブライアンでもセドリックでもなく、やはりクラドック警部だと思ったのですが、グラナダドラマ展開が好きだから色眼鏡がかかっているのかもしれません。

という訳で、
翻訳されたものには、訳者の解釈が入ってしまうらしい(実際3冊異なる訳者のを読んだけど、全部ラストの訳し方が違う)ことに気付いたので、素のままの原文を読んだらどう印象を受けるかと思い、原文を引っ張ってみました。

【ラストの文章】
1.クラドック警部「ルーシー・アイレスバロウはどうですか?あそこもウエディングベルでしょうか」
2.ミス・マープル「多分」「不思議じゃないわね」
3.クラドック「彼らのどちらを彼女は選ぶんでしょうか(Which of 'em is she going to choose?)」
4.マープル「わからない?(Don't you know?)」
5.クラドック「わかりません。わかります?(No, I don't. Do you?)」
6.マープル「ええ、そう思ってますよ(Oh, yes, I think so)」
7.And she twinkled at him.

3冊読んだ中で一番違和感な訳が、早川書房クリスティー・ジュニア・ミステリで、6を「ええ、たぶん、あのひと」と訳してました。
「あの人」なんて単語はどこにも入ってません。
これは訳者の「ルーシーが選んだのはセドリックかブライアンだ」という解釈が入ってしまってます。「マープルがクラドックに第三者を指している」ので、これを読んだジュニアは、少なくともクラドックは除外してしまいます(感想の誘導)
このシリーズは「ジュニアでも解りやすく」というコンセプトの本ですが、これはやり過ぎ。
幸い私は、2冊めでこれを読んだので違和感を感じました(お陰で原文を確かめる羽目に)

7は、「彼に向かってめをぱちぱちさせた」「輝いた目で彼を見た」「彼にウィンクした」といった訳だったのですが、辞書を引いたところ、「twinkle」の意味が「輝く」「まばたきする、目配せする(古語)」という意味でした。
助詞が「at」なので、「何かの理由で目を輝かせてから彼を見た」より「その目は彼を見ることによって輝いた」というニュアンスなのかな?(辞書より)

という訳で、原文を見ても、やっぱり印象として「マープルはクラドックだと思ってるよ」に読めるのです。
ただ、クラドック警部はマープルシリーズで「予告殺人」「パディントン発4:50」「教会で死んだ男」「鏡は横にひび割れて」に出て来るのですが、「パディントン~」の5年後に書かれた「鏡は~」で出世はしてても結婚はしてない事が書かれています。
これが、クラドック否定派の一番の理由となってます。
まあ、「鏡は~」のあのシーンで、クラドックから「はい!結婚してますよ!めっちゃ美人で料理上手で家事完璧な奥さんで、今とても幸せな夫婦生活で超ハッピーなので貴方の仰ってる事は全く判りませんハッハッハ!」と言う台詞が出たとしたらとても台無しなので、クリスティがクラドックを未だ結婚未経験にしたとしても不思議ではない。
「ルーシーと死別したよ」とされるよりは全然良いと思われます。

「パディントン発4:50」のアガサ・クリスティのプロットで、については、↓の本が紹介してます。

アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


これによれば、プロット段階ではルーシーはセドリック(ネタバレにより反転)と結婚するとメモされていた模様。ただ、同時に小説に出て来ない人物の名前があったり息子の人数が違ったり書かれてないキャラが居たりと変更点があるし、プロットを書いてるノートは3、22、45、47と4冊あって、この部分はノート22であるというところからも初期プロットで、「これでルーシーの結婚相手は判明した!」と言い切るには、正直、弱く思えます(この本では言い切っちゃってるが)
それでも、この派閥には根拠に出来る嬉しい情報だと思います。

で、結論としてどうなのかというと、アガサ・クリスティが亡くなった今となっては結局正解は闇の中です。
むしろファンがキーキー言ってるのを楽しんでそう。
自分の推しキャラとルーシーがくっついたと自己完結して、他の派閥と争わないのが一番平和そうです。

セドリック派はルーシーとセドリックは館を売っぱらって海外で面白おかしく刺激的に暮らしてると想像し、
ブライアン派は夢想家ブライアンを現実的ルーシーがビシバシ教育して幸せな家庭を作っていると想像し、
ルーサー派はルーサー亡き後遺産でウハウハなルーシーを想像し、
クラドック派は婚約5年後にやっと結婚したと想像し、
未婚派はルーシーは自分の手腕で誰にも頼らずこの先も自分の好きなように生きると想像し、
大穴アレグザンダー派は10年後に「パパじゃなくて僕と結婚して」を想像し、
まさかのエマ派は面白おかしく女二人で暮らしましたでも良いんじゃないかな?

私自身は、グラナダパターンが大好きなのと小説のラストの印象でクラドック過激派(5年後結婚)です。

しかし実は、これだけ論争が出来る「パディントン発4:50」は、実はまだ幸せな方で、
「スリーピング・マーダー」「バートラム・ホテルにて」に至っては、ロマンス展開はドラマオリジナルで、原作ではそんな展開は全く無い!らしいのです(原作未読)
えぇ……そんな……そこが好きなのに…(´;ω;`)

――というのが、今日、グラナダマープルの「パディントン発4:50」を見直していた理由なのでした。
あー、やっぱり良いです。原作がどんな落ちであろうと、この警部パターン最高です!(この確認)
他にも、犯人の犯行理由が財産狙いじゃなくなってるところも好きだし、ルーサーが銭ゲバエロ爺じゃないのも好きです。
ただし、多分セドリック派には物足りないと思われます(ほぼモブ化しているセドリック)

マープル



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